対談第二回
ゲスト:エミ・エレオノーラ

第二回目のゲストは、デミセミクエーバーの歌姫エミ・エレオノーラさん。暮れも押し迫った渋谷のカフェでの密会!?
二人の意外な共通点が今解き明かされる!


エミ:明るいとこで会うと緊張するわね。
有近:まだ6時だし。
エミ:飲んでいいですか?
有近:僕もちょっと飲もうかな。
エミ:すいませーん。
(女給さんが来る)
有近:スコッチウィスキーって何があるんですか?
エミ:私もそれ言おうと思ってたのよ。
女給:少々お待ちください。
エミ:何でもいいわ。私、ロックで。
有近:じゃ、僕はストレートで。
エミ:私いつも飛行機の中で飲むのよ。ミルク入れて飲んだことある?『ミルキー・セピア』っていうのよ。デザートにちょうどいいわよ。


エミ:私、ずっと有近くんと話したかったのよ。けど、何から話したらいいのかな?。。好きなものとかってどう?
有近:あー、じゃあそういう話しから始めようか、思いつくままに。。。ティム・バートンの絵本って読んだことある?
エミ:私あんまりものを知らないのよ。
有近:頭にクギかなんか刺さってる男の子の話があるんだ。『シザーハンズ』みたいなものなんだけど。
エミ:最初っから刺さってるの?
有近:そう。『バットマン』の最初のやつがティム・バートンだったかなあ。あれも結構好きだった。
エミ:私『ポイズン・アイビー』が好き。とてもキレイなのよ。
有近:知らないなあ。
エミ:それも『バットマン』に出てくるのよ。最近のだけど。ユマ・サーマンがやってて、よかった。ティム・バートンはよく知らないけど、童話は好きよ。私、童話が原点だから。
有近:あー、エミちゃんてそんな感じがする。エミちゃんのあの赤いCDブックも童話っぽいよね。
エミ:そうそう。文章も童話の影響で。マザーグースとか好きなの。韻を踏んでて、日本で言うと“五、七、五”みたいなんだけど。。。あとはグリムとかも読んだ。残酷でシュールでエロティックな感じが好きだった。大人になってからはムーミンの単行本とかね。あれはシュールレアリズムで。。。
有近:ムーミンてさ、テレビでやってるのより原作の方がもっと無気味だよね。
エミ:もうLSDの世界。幻覚の世界よ。ディズニーの『ファンタジア』もそう。LSDとかやったことないけど、そういう感じなんじゃないの? あとねえ、松谷みよ子。絵本作家なの。
有近:どんな話を書くの?
エミ:私が好きなのは『二人のイーダ』とか。すごいシュール・レアリズムなの。あとは、ルイス・キャロルの『不思議な国のアリス』とかビクトリアス・ポーターの『ピーター・ラビット』とかね。
有近:そういうのすごく詳しいんだね。エミちゃんの栄養になってるんだね。
エミ:音楽を本気でやる前だったから。そういうところから始まったと思うんだ。
有近:いつ頃からなの? 音楽を本気でやろうと思ったのは。
エミ:ピアノを習い始めたのが4才。そのときは自分の意志で習いたいって言って、変な作曲とかしてた。エミ語で歌ってた。
有近:そのときから?!
エミ:今の私と全然変わってない(笑)。
有近:一貫してるんだね。
エミ:変わったのは顔ぐらい。化粧で(笑)。


エミ:本の虫ってよく言うでしょう。私そんな感じだったのよね。今は全然読まなくなったけど、当時は何でそんなに読むの?っていうくらい。家の中、図書館みたいだったのよね、実家が。小学校のとき家の中歩いてたらカフカの『変身』が落ちてた(笑)。で、読んでみた(笑)。
有近:お父さん、そういう関係の仕事だったの?
エミ:ううん、そういうわけじゃないのよ。お母さんが本とか絵とかすごく好きだったの。で、玄関から本があった(笑)。音楽に関しては、ウチの親はクラシックとスタンダード、特にダンス音楽、マンボとかが好きで、よくかかってた。最近、実家に帰たらフジ子・ヘミングがかかってて、それはそれで堅苦しくてイヤだったり(笑)。全く普通の下町の家庭なんだけどね。有近くんはどうだったの?
有近:僕んちは演歌だから。
エミ:演歌??
有近:僕の父親は演歌の作詞家なんですよ。それで、子供の頃はクリスマス・パーティーで、流しのオッサンとかが来て宴会やってて、酔っぱらってすごい説教が始まったりして、「大きくなったら何になるんだー? 勉強してちゃダメだぞー」って感じ。クリスマス・パーティーっていうとカタカナなんだけど、ガード下で歌ってるようなそんな人ばっかりが来てた(笑)。
エミ:いいなあ~、私、そんな家庭に生まれたかったなあ。でもね、ウチのお父さんもそんな感じでしたよ。お父さんは下町の運送会社の社長だったから、運転手さんいっぱい雇ってて、荒くれたっていうか、そんな感じのおじさんばっかりで。。。
有近:ウチは、クラシックのレコードなんか4枚くらいしかなかったよ。『くるみ割り人形』とか『世界の名曲集』みたいなね。あとは、『あなたの選んだラテンムードアルバム』とか。
エミ:私、そういうの全部好きよ。クラシックでもポップなのが好きなのよ。だから、現代音楽とかあんまり興味がなくて。チャイコフスキーとかがいい。あとはラテン系とかね。
有近:ラテン系の雰囲気はあったんだよ。あの頃はまだ演歌っていう言葉がなくって、歌謡曲だった。その前になると、まだ芸者さんがレコード出してたりする時代。うちの父親が仕事するようになったのは昭和30年代で、はじめは売れなくって。で、その頃の歌謡曲ってシャレたアレンジでちょっとラテン入ってたりするじゃない。今は演歌っていうとみんな同じような感じだけど、昔はもっと色々あった。
エミ:私、ムード歌謡とか好きですよ。
有近:ラジオを聴くようになったのが、小学校のまんなかくらいの頃で、その頃、居候がいっぱいいたんだ。歌手志望の人で、親戚の紹介で仕方なく預けられたりしてね。延べで15、6人くらいかな。多い時で一時期に4、5人いたりした。1人として歌手になれなかったけど(笑)。あの頃は家の中にずいぶん大人の人がいっぱいいるように思えたけれど、今から考えると15から20才くらいの人だったね。「オレはグループ・サウンズになりたかったんだよー」みたいな感じだったんじゃないかな?


エミ:ふうーん。有近くんってかわいがられたでしょう、きっと。
有近:いや、かわいがられなかった。暗い子供だったから(笑)。その居候がいない間にこっそり部屋に忍び込んで、彼らの持ってるレコードとか聴いてた。『あなたが選んだローリング・ストーンズ』みたいなのをわけわかんなく聴くわけ。で、「何だあ、これ~」って。だから、ビートルズがどうしたとかじゃなくて、わけわからないうちからそういうの聴いてた。
エミ:へえー、そういう影響で音楽始めたのね。
有近:よく覚えてるんだけど、12、3才の頃、ラジオで『GET IT ON』が流れて、かっこいい!と思ってヴォリュームを上げたら、オヤジが怒って入ってきて「うるさくて仕事にならんじゃないかー!」っていきなりラジオをつかんで投げて、縁石にぶつかって大破した(爆笑)。
エミ:(爆笑)。
有近:僕は内気な何考えてるかよく分からない子供だったらしいよ。エミちゃんは?
エミ:私、子供の頃はまだよかったのよ。中学入ってから30才くらいまでが暗かった。長いって?(笑) 私、今、有近くんとの接点を見つけたのよ。っていうのは、私、赤坂六本木あたりでピアノで演歌の伴奏をする仕事をしてたのよ。当時まだカラオケがなかったから。バブル時期だったこともあって、すごく儲かったのよ。チップだけで、一日で何万ももらったり。その頃が一番金持ちだった。その時に、『奥飛騨慕情』を歌う人が来て「お前テンション入れるな!」って怒って帰ったり、あと、勝新太郎の伴奏もしたのよ。もしかしたら、お父さんの曲も演奏したかもしれないわね。

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